「るりしずく」が育つ畑では、生物多様性を目指す考えのもと、農薬を使わない草生栽培に取り組んでいます。
けれどそれは、まだ完成された方法ではありません。
私たちは今、自然と調和する農業の形を模索しながら、挑戦の最中にいます。
草生栽培
作物以外の草を生やして土を管理する方法。
土壌流出や乾燥を防いだり、有機物を補給したりする効果がある。
たとえば草の管理。乗用草刈機で畑全体を一気に短く刈れば早くて楽ですが、それでは生き物たちの居場所も減ってしまいます。
そこで今年から、小型の草刈機を使って草の「高刈り」を始めました。
通常の草刈りは地面の際で行いますが、高刈りではそれより10センチ程度高い位置で刈り取ります。するとそこに、クローバーやカラスノエンドウ、野いちごといった野草が育ってきました。
植物の種類が増えることで、そこに根付く菌や微生物も多様になり、土壌がより豊かになっていきます。
居場所が生まれたことで、畑に蜂やカエル、カマキリ、ヘビといった捕食者たちの姿が増えてきました。彼らはブルーベリーを食害する虫を食べてくれる頼もしい存在です。
虫や鳥、生き物たちと力を合わせて、農薬に頼らずブルーベリーを育てる――
この小さな生態系のバランスを保つことも、私たちの農業の大切な柱です。
人の食べ物を育てる畑が、同時に生き物たちの住処になる。草や虫、鳥や小動物たちの居場所を増やし、命がめぐる場所をつくる。農業が、生き物たちと共にある循環の一部として機能すること。そんな風景を大切にしたいと思います。
今は有機質50%以上の肥料を使用していますが、いずれは肥料を使わずに、自然の力で作物が育つ畑をつくることを目指しています。
ですがこうした栽培方法は、一般的な栽培方法よりも手間と時間がかかってしまうため、
全ての畑で実践することはできていません。
それでも「るりしずく」を選んでくださる皆さまのおかげで、私たちはこの挑戦を続けることができています。
自然とともにある農業を実現すること。
畑を、生き物たちの住処として守ること。
その一歩一歩は、皆さまの選択によって支えられています。
本当に、ありがとうございます。
「るりしずく」は、ブルーベリーの深く澄んだ瑠璃色と、口に含んだときに広がるみずみずしい果汁(しずく)からイメージして名づけました。
太陽の恵みがぎゅっと詰まった、自然からの贈り物のようなブルーベリーでありたいという願いが込められています。
2025年6月
園主 佐藤 拓也